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「萌え」
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■「萌え」の意味論・語用論

「萌え」の現代的用法における語義・用法を、意味論・語用論を踏まえながら解説すると、「萌え」は様々な対象に対して向けられる好意的な感情を表すと同時に、それらを総称する用語であると言える。

・ 代表的な「対象」
** 主に架空の女性(キャラクター)の性格、特徴(詳細は萌え属性を参照)など。アニメ・漫画・ゲームといったフィクションなどに登場するキャラクターに対して使用されることが多い。
・ 代表的な「感情」
** 保護欲や庇護欲を伴った疑似恋愛的な好意や愛着、もしくは純粋な好意や愛着、フェティシズムや属性に関わる嗜好や傾倒など

ただし、上に挙げられた「対象」および「感情」はほんの一例にすぎず、これだけの説明で全ての用法を要約することは難しい。結果として、話者各々の後付け解釈などによって様々な分野に浸透していった結果、さまざまな意図・意味での用い方をされる傾向にある。(文脈によって意味が異なる感情を表した語の例としては、愛しさ(感情の一覧)などを参照)

具体的には、その対象は「架空の二次元女性キャラクター」に限らず、俳優やアイドルなど実在の人物であったり、また人以外の動物や無生物(「工場萌え」「鯨萌え」「中華鍋萌え」など)、さらには無形の概念(音楽等)にも及ぶなど多様性に富む。また、主体的に感じる感情の内容は、強いて一般的な言葉で言い換えるなら「何かに魅力を感じること」や「魅力を感じることで興奮すること」とも説明できるが、その用例が「架空のキャラクターへの恋愛感情」に代表(集約)されることも多いため、フィクション寄りでセクシュアリティ寄りのイメージが込められやすい、という一面も存在する。このため、オタクに対する偏見や理解不足などによって「萌え」が使われてしまう(例:フィギュア萌え族)場合もある。また、メディアミックス的販売戦略(メディア戦略)によって派生した萌え絵や萌え属性などの概念についても、萌え要素や『データベース』消費という用語を造語する形で、東浩紀の著作『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』(2001年)で明文化されている。

実在の存在に対して用いた場合、対象があたかも架空の存在であるかのように偶像化されてしまう傾向が強く、また同性に対して用いる際も、ただの好意を示すだけでなく、一部では(冗談も交じえて)疑似同性愛的なニュアンスが加味されるケースも見受けられるが、この場合は恋愛感情というよりもユーザー各々の趣味・嗜好に近いと言える。ただし、一般用語としての「魅力を感じること」と、オタク用語である「萌え」の間にある細かな差異としては俗語(隠語)として言葉の指向性をはらむという要素があり、オタクが用いる例が多いことからも、ある種の「オタクっぽさ」を周囲に感じさせやすいという点も考えられる。

元々、男性による使用例が主であったが、現在では男女問わず用いるユニセックスな言葉として定着している。実際、話者と同性のキャラクターに対して用いるだけでなく、性別とは無関係に、キャラクターの部分的な特徴(容姿や性格など)や、キャラクターにまつわるストーリーやシチュエーション、カップリングなどの諸要素に向けて用いるケースまで様々な使用例がある。それらの適用範囲は広く多彩であるが、その嗜好には一定のパターンが発見できるという見解もある(詳しくは萌え属性を参照)。

また、「感情」を表す言葉としてだけではなく、注目を集めようと露骨に「お色気」を強調するケースや、宣伝などのために「対象そのもの」や「ジャンル(文化、業界など)」を指す代名詞として使用されるケースもあるが、発言者の好みや先入観、対象のイメージに左右されやすいため意味合いは一定せず、その対象やジャンルに対して「萌え」を感じるユーザーが限定される(好みが分かれる)という基本的な問題も常につきまとっている。また、「統語論・形態論」でも扱ったような、自動詞としての「萌える(=魅力を感じさせる)」を名詞化したような用法となるケースも見られるが、「萌え」という言葉が「ユーザー個人の趣味・嗜好に対する好意的感情」として定着しつつある現状を考慮する限り、このような使用法は「○○こそが“萌え”だ」と他のユーザーに強制するような印象を与えかねず、上記の問題とは別に、先入観や誤解を広める誤った使用法だとする見方もある。ただし、マスメディア(もしくは特定の著名人など)が先導するような形で「萌え」という言葉が用いられていることも広く視野に入れた上で考慮しなければならないのが現状であるとも言える。

既述のように、「萌え」が使用されうる対象は「感情」、「感情を促す対象」、「萌えにまつわる文化」の三種類に大別される。この分別を「可愛い」という単語で喩えるなら、「可愛いと感じる感情」と「可愛いもの」と「可愛さにまつわる文化」をそれぞれ「可愛い」の一言で表現(通用)しているのと同じような表現法(「可愛い」は形容詞あるいは感嘆詞であり、感情や対象を表す「名詞」としてではなく、「統語論・形態論」で扱った自動詞的表現に近い)であると言える。

上記のように認識・解釈・使用法について著しい個体差があり、適用範囲が広範・多岐にわたるため、現状では「萌え」の明確な定義を導くことは困難であると言える。


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◆目次

萌えとは
概要
古典的な用法における「萌え」
「萌え」の統語論・形態論
「萌え」の意味論・語用論
「萌え」の成立・普及
「萌え」の社会現象化
萎え
関連項目

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